私は、箕面自由学園に来て9年目を迎えます。
本学園にくるまでの25年間、大学に入学後、目標を見失う子どもや、大学へ内部進学しても、基礎学力が身についていないことから卒業できない子どもを見てきました。
「箕面自由学園高等学校の校長へ」というお話をいただいた時に、「高校がもっとこうなったらいいな」という思いを実現したい、「自分の子どもを通わせたくなる学校を作りたい!」という思いで9年前に着任しました。
学校には本音と建て前があります。「わが子を入れたい」というのは、何もかも本音でぶつかる、わからないことは子どもの声に耳を傾けるということをモットーに取り組んできました。
今では、進学実績だけではなく、学校の本質をしっかり見てもらい本校を志望してくれる受験生が増えてきたと思います。
保護者の皆さんも感じておられる通り、世の中はそれほど単純ではなく、出身大学で将来が決まるというような甘いものではありません。仕事を2つ3つ変わっていくのは当たり前の時代です。だからこそ、「自分で決める、努力する、自分でつかみとる。」進路決定については、本人が何をしたいかをとことん聞いてほしいとお願いしています。
この春、資源の少ない日本だからスマート漁業に関わりたいという生徒は北大の水産へ、老人の方が安全に利用できる自動運転の車を開発したいという生徒は、専門の取り組みをしている群馬大へ進学していきました。本人たちにとっては、どちらも東大へ行くのと同等の価値があります。
小学校の保護者の皆さんには、まだまだ子育ての過程での悩みが多くあることでしょう。
今回、後藤副校長と共に小中高に関わるのは、これまでの多く生徒の歩みを見てきた経験を是非伝えたい、本音で話し合いたいと思っています。気が付かない点もあると思いますが、どんなことでも声をかけてください。この4月からは 「自分の孫を通わせたくなる小学校を作りたい!」という思いです。
最後に一つエピソードを紹介します。
先日、体育の授業を参観した後、校舎へ戻ろうとした時に、2年生がすっと私の手を握ってくれました。
その手の感覚 子どもの手の感覚、我が子の幼いころを思い出せてくれた久しぶりの感覚、とても嬉しかったです。中高ではない感動でした。
小中高兼務ですので、授業を見て回り学園を俯瞰してみながら良い学園を作っていきます。
この国は、決して楽な位置に置かれていませんが、この国を作っていく人材…子どもたちのしっかりした幹と意思を育て社会に送り出したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。