校長通信⑬「自由の丘から」

私も気がつけば、いつの間にか長いこと、学校の教員をしております。
学期の始業式は何度経験しても、緊張もあり、久々に子どもたちの笑顔に会えると思えばうれしくもあり・・・ハラハラドキドキです。

2024年度2学期始業式は、小・中・高ともに、8月26日!朝から走り回りました(笑)

小学校の始業式も、一段と成長し、たくましくなった笑顔にたくさん出会えました!この夏、ご家庭でいろいろな経験・体験をしてこられたのでしょう。小学生にとって「ひと夏を越える!」というのは大きな成長の機会だとつくづく思います。

始業式での「校長先生のお話」というのは、どの学校でも当たり前のようにあるのですが、「少しでも子どもたちの心に残ることを話したい!」という思いから、笑いあり、感動ありの話をしようとあれこれ考えます。(世の中の校長先生はみんな同じ気持ちだと思います。)子どもたちの表情を見ながら、考えてきた話題をチョイスし、話すようにしています。(もちろん、長さも大切な要素です。)

今回は、この夏休み期間中に大きな事件事故に本学園の児童・生徒・教職員が巻き込まれなかったこと、しかし、まだまだ暑い夏が続いている。自分のいのちは自分で守ること、水分補給、休息、しんどい時は自分でしんどいと表明する。そして、交通事故。仲間といるという安心感から自分で判断することなく、安易な方向に流されてしまうこと(いわゆる群集心理)、「こんなはずじゃなかった」と思っても、もはや遅い。 いのちはたった一つしかない。「いのちの大切さ」は、同時に「自分でしか守れない」ということを伝え続けなければなりません。それに加えて、今回の始業式では、「他人との距離感」について話しました。誰でも他人から言われたら「いやだな」というものがある。特に身体的特徴です。それを「自分の個性」だと理解するには時間がかかる。他人から見ればたいしたことがないと思っても本人にとっては重大な問題。ずっと気にしている。だれもがそんな経験をしていると思います。当然、私も他人から言われたら、「いやだな」と思う身体的特徴があります。しかし、言い手は、そのことに気づいていない、わからないから。「そんなこと言ってはいけません」と言ってもわからないのです。想定していない。だから平気で言ってしまうことがある。しかし、相手の顔色、表情、言動から「いやだ」と思っていることを「察する力」。時には「ごめん」と謝る。そして、もう言わない。このように周囲の人の気持ちに寄り添い、心配りができる。加えて、言われたほうも勇気をもって「それは言ってほしくない」と素直に自己主張できる、そんな学校をみんなで作ろう!という話をしました。

スマホが普及して、簡単に自分の思いを文字化し、全世界に発信できるようになりました。ややもすれば、心の中がシースルーの状態になってしまっています。言葉のとらえ方ひとつで、いろいろな解釈ができてしまうというのも事実です。言葉を切り取り、歪曲化することによって、本来の意図とは全く違うものになってしまうということもしばしばです。子どもたちもこのあふれた情報の中で、それをチョイスしながら生きていかなければなりません。「リテラシー」ということが本当に重要だと思います。

コミュニケーションとは、一方通行の思いだけではなく、聞き取り、自分なりに考え、自己主張するという一連の流れがあります。「NO」ということも大事です。そして、相手の表情を読み取るということ。これも重要な要素です。

夏休み期間中に、小学校の教員を対象にマナー講座が開かれました。いろいろ学ぶことがあったのですが、いろんな場面でお辞儀をする際、お辞儀をしたのち「相手の目、表情を見つめること(残心と言います)が大事」ということが強く印象に残りました。お辞儀のあと、すぐに次の行動に移らず、その余韻というか、その場に心を残す、このことに言葉にできない強い感動がありました。われわれ現代人は「忙しい」「忙しい」とつい口に出してしまいがちで、「次」「はい次」とこなしていってしまうところがあります。しかし、この残心、「心をその場に残す」という心の持ち方ひとつで、「こなす」のではなく、心に余裕が生まれ、人間関係も円滑になるのではないかと思いました。

「目の前の子どもたちの言動は、私たち教職員や保護者の鏡」です。子どもたちの行動から学びましょう。読み取りましょう。そして、しっかり教えましょう。

2学期の始業式も思うように話せませんでした…まだまだ、修行が足りません。本校の忍者の下で、修行します。乞うご期待!

まだまだ暑い日々が続きます。体調にはくれぐれもご留意ください。