校長通信⑮「自由の丘から」

2025年 年頭所感  ※「学校だより」より

2024年は、能登の地震に始まりました。大自然の威力と人間の命の儚さ、そんな中でも、たくましく生きていく人間の力、協力の大切さ等々、たくさんの思いに触れながら、過ごした1年となりました。まだまだ能登の復興は道半ばですが、われわれの出来ることを考えて、実行していきたいと思います。

 

皆さんは、2025年をどんな年にしたいですか?

 

2024年、私は「失敗を失敗のままで終わらせない。失敗から学び取り、次につなげていく。自分が成功と思えるところまであきらめないで、やり続けよう。」と言い続けてきました。『あなたの「これから」が、あなたの「これまで」を決める』という佐治治夫先生の言葉を紹介しながら、私なりの解釈を加え中・高での校長講話をしてまいりました。過去の事実そのものを変えることはできないが、それ以降の自分の営みによって、その事実に対する自分の見方、考え方、評価はプラスのほうに変えることができるというものです。人間はいつでも未来に向かって努力していくことによって、過去のあり方そのものの価値も自分にとってプラスの方向に導くことができるという意味でとらえています。

成果主義が常態化している昨今、「結果がすべて」という風潮が大勢を占めています。精一杯努力したとしても、期待した成果が出ない場合、すべてが水泡に帰すると帰結してしまいがちです。仕事上では、結果責任を問われることもあります。しかし、小中高、そして大学時代、「学校」というところで学んでいる間は、その過程をできるだけ大切にしたいと思います。過程での失敗から学び続けることで、人は大きく成長していくからです。

大人は「転ばぬ先の杖」、子どもたちが失敗しないように先回りしてしまうのですが、それは大人が望むような結果になることを期待し、そうなるように仕向けていくことに他なりません。しかし、保護者が先回りできるうちはいいのですが、やがて手の届かないところで巣立って行きます。どれだけ失敗し、そこから学び、再び立ち上がったか、その経験が大切になってきます。まさに、『あなたの「これから」が、あなたの「これまで」を決める』です。中高校生を見ていると、しっかりと学力が伸長している生徒は、問題をやりっぱなしにしない、特にできなかった問題をしっかりやり直し、「自分のもの」にしてから、次へ進むという循環をしていると思います。問題に取り組んだ時、できなかった問題、さっぱりわからなかった問題は、後回しにしがちです。誰だって最初からはできません。簡単にあきらめることなく、できなかった問題を丹念にやり直していくことで、次回はその類題も含めてできるようになります。また、この経験値の多さから「ひらめき」が出てくるのです。学習とは、この繰り返しなのだと思います。

失敗を失敗のままで終わらせない。失敗から学び取り、次につなげていく。自分が成功と思えるところまで、やり続ける。大人にとって、「過程を見守る」というのは、忍耐が必要なのかもしれません。(もちろん、アドバイスすることは大事です。)しかし、私たちが望む結果を期待しすぎるがために道を作り続けるのは、今年からは少しずつ、減らしていきましょう。減らすように努力しましょう。

長い目で見れば、それは本人のためにはならないからです。

 

箕面自由学園は、2025年で、100周年を迎えます。

100年の間には、幾多の試練があったと思います。そのような時、先達たちはどう考え、どう行動したのでしょうか。「現在のMJG」を預かる者の一人として、ベストな選択は何なのか、沈思黙考しつつ、道を切り開いていきたいと思います。もちろん、失敗から学び続け、それを生かしていくことを肝に銘じて。

保護者の皆様にとって、健やかな1年になりますように。

今年も教育活動へのご理解・ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。